
以前から関心が高かった食に関する知識と技術を身につけようと、調理師学校の社会人コースに通ったことは先に紹介しました。
そこで学んだ1年間は、平日の朝から夕方4時頃まで学校に通い、
座学と調理実習を通して、食品衛生学や衛生法規、栄養学、公衆衛生学などの基礎知識。
調理の原理や食材の特性、調理器具の使い方、食文化など和洋中の料理の基礎などを学びました。
平日の夕方以降と土日はフルタイムで、実家の料亭を手伝う日々でした。
調理師免許取得後も、食に関する幅広い知識を“肉付け”しようと、フードコーディネーターの資格取得に挑戦。
フードマネジメント、メニュープランニング、食空間とテーブル、食の企画・立案など分厚い教則本に赤線を引いて読み込み、頭に叩き込んで試験に合格しました。
その頃、実家の料亭にいる時間が長くなるほどに、どこか煮詰まってしまう感覚がありました。
「自分のプラスになる何かをしたい」という学びへの意欲が高まっていたとき、
ご縁があり、名古屋のインテリアショップで開かれている食器スタイリング教室に通うことができました。
インテリアコーディネートも手掛けているそのお店は、トレンドを意識した食器やカトラリーなどを扱っており、当時、徐々に知られるようになってきた
「テーブルコーディネート」について、月に数回学ぶことができました。
この教室で特に良かったのは、お店で扱っている食器に実際に触れることができたことです。
指導してくださる女性オーナーが感度の高い方で、お店で使用している食器やテーブルクロスなどを実際に使って
テーブルコーディネートを経験できたので、質感や肌触り、重さなどをリアルに感じることができました。
お店で扱う新商品を見て触れ、業界の新しい情報や知識を得られたことも貴重な経験でした。
インテリアショップということもあり、
以前から望んでいた「空間を作る」という作業を体験したり、
ショップにいるだけで空間作りの面白さを体感することもでき、
教室がある日はいつもワクワクしていました。
「感度を磨く」には、
人や環境が大切だと実感しました。
質の高い空間に身を置き、
感度の高い人に触れる中で、
感度は研ぎ澄まされていくのだと思います。
私が目標とした木村ふみさんは、花、食器、カトラリーなどを、誰も予想できない組み合わせや配置で、普段目にするものとは全く違う空間を作り出していました。
その高みに少しでも近づけるよう、教室に通う日は自分の感覚をフル稼働させて学び続けました。
同じ頃、地元で活動していた美濃焼研究会でも学ばせていただきました。
実家の料亭でも扱い、親戚が窯元として携わっていた美濃焼。
地域に古くから根ざす伝統の美、伝統工芸の活用の仕方について学んだことも、その後の経験を高める上で重要な土台となりました。