.jpg&f=png&w=300&h=300&fltr[]=elip&fltr[]=wmt|Food+Create|6|B|353535|01FLOPDESIGN.ttf|50&far=C&zc=1&aoe=1&q=80&hash=f6d58efbe66313d48cfef25a2fe299fe)
その意識は、短大卒業後に新社会人として勤めた名古屋市に本社がある株式会社エフビー(http://www.fb-fashion.com)というアパレル企業で叩き込まれました。
レディスの既製服製造卸を事業としていて、小売店などの得意先に商品を納品するまでの企画、製造、販売、物流を自社内で完結できるメーカーです。
繊維商社から生地を仕入れてデザインして縫製し、量販店や通販会社に卸していました。
希望通りの企画営業に配属された1年目は、繊維商社が製造した生地の色ムラ、織ムラ、機能性・耐久性など不良がないかといった品質を一定に保つための管理業務の日々。使用する製品と関連づけた台帳の整理する仕事をしていました。
毎日、その仕事を繰り返すことで生地や商品の情報が自分の中に蓄積され、品番を聞くとすぐに商品を取り出せるまでになっていました。
そうした仕事を評価していただいて染色をオーダーしている韓国の繊維商社に出張することになり、これが私の初めての海外出張となりました。
私のデスクは、いわゆる“お誕生席”にある上司である部長の席の隣でした。
外出が多い上司のデスクは、大量に届く生地のサンプルや資料などがすぐに山のように積み上がってしまうので、それを荷捌きするのも私の仕事でした。
自分がわかるものは整理し、わからないものは上司が戻り次第、指示を仰ぐのですが、その指示の早いこと早いこと。
大量に進んでいる案件を同時進行で考えながら、段取りを組み立て、的確に指示を出す頭の回転の速さに、社会人1年目の私は
「この人の頭の中はどうなっているんだろう?」と驚き、感心していました。
指示に従って秘書のような仕事をしながら、
「いま新案件が進んでいるんだな」
「こういう時は、こう対処するんだ」など、
社内の仕事の流れなどを把握するとともに、仕事の仕方も学ぶことができたのです。
2年目になると、上司に同行して東京の市場調査に出かけて情報を集めたり、
大手の百貨店などを回ったりしたことで
「モノを見る目」が養われました。
今でこそ主流となっている「マーケティング」という言葉が使われ始めた頃で、
同じところに出かけて、
どういったものが売れているか、
流行っているか、といった商品の流れを「定点観測」を通してつかんでいました。
新宿伊勢丹や上野のマルイには必ず出向いていたのですが、自分が「これ、好きだな」とか
「これは売れるだろう」と思ったものが売れていなかったり、
実際に売れているものは自分の趣味には全く合わないものだったりしました。
そうした経験を通して、
「自分が好きなものと、売れるものは違う」ということ、足を使って売り場を確認し、自分で感じ取ることの大切さを、この頃に叩き込まれました。
数字でわかる部分は確かに多いです。
でも、売場の動きを見ると、数字だけでは測りきれないものがあることがわかります。
常に流動的で多様な顧客目線があってこそ成り立つ「売場」という現場は、
A Iがどれほど進化しても、A Iだけでは読み取れないもの、人が介さなければ掴み取れないものがあると考えています。
マーケティングや商品開発においては
「仮説を立てる」ことがすごく大切です。
例えば、通販事業で昨年大ヒットした商品を少しアレンジしたいと思った時、
多くの情報を集め、それを元にターゲットなどを深掘り、分析し、市場調査も進めながら仮説を立て、商品開発する。
その際、現場の肌感覚のようなものを掛け合わせて導き出していくのが正解だと思っています。
とあるスーパー様のご支援をさせていただくことがありますが、
現場の皆さんがとてもよく勉強なさっていて、女性目線の売り場作りもできているのですが、
それでも私のような専門家に店舗診断をご依頼いただけるのは、数値だけでは測りきれない、
「見えない部分」があるからだと思っています。
この会社での仕事は大好きでしたが、実家から「戻ってきて」コールがあり、残念ながら4年足らずで退職することになりました。
でも、この職場で得た知見や経験、仕事の仕方を覚えたことが、いま全国各地の飲食に限らない様々な職種の方をサポートする際に大いに役立っていると、いつも思っています。
(ちなみに、当時の上司の部長は現在、社長になっています!)